大津市が大津市自治連合会や、各単位自治会に支出している「報償金」は、年間合計約1億円に上り、このうち計約1000万円が各自治会長報償金として学区の口座へ、約480万円が各自治連合会長個人の銀行口座へ直接振り込まれていることが明らかになった。地域の自治会(町内会)活動への補助金がゼロという自治体がある中、中核市の中では突出した金額と言える。しかし、「報償金」名目の現金を各自治会や各会長へ渡した後、実際どのような形で「市政協力」の活動に用いられているのか、大津市はほとんどチェックしておらず、領収書の提出さえ求めていない。こうした実態について大津市は、ルール通りの運用で「問題はない」としている。
大津市から自治会への報償金について定めているのが「大津市自治会等報償金支出要領」。それによると、報償金は「自治会活動の奨励と市から自治会を通じて依頼した市民に対する広報的な配布物の配付をはじめとする市政協力に対する謝礼として支出」としている。
年間約1億円の内訳は、末端の単位自治会(約700組織)と、それらを束ねる学区自治連合会(36組織)へ渡るものが約84%(約8200万円)で、それぞれの自治会の会長と自治連合会長に渡るものが約15%(約1450万円)を占めている。(残りの1%、約155万円は自治連に未加入の自治会に振り分け。)
このうち会長個人の報償金は、大きく2つに分かれ、単位自治会の会長(約700人)が年約1000万円、学区自治会の会長(36人)が残りの年468万円を受け取っている。つまり、単位自治会の会長は1人平均で約1万4300円、学区自治会の会長は13万円が大津市から振り込まれている計算になる。
ところが、自治会組織に渡ったものも、会長個人に渡ったものも、その後、いつ、どこで、何のために使われたのか、裏付ける書類は何もない。広報活動などの「市政協力」を全くしていなくても、報償金を受け取ることはできる。
「市民に対する広報的な配布物」の代表的な例は、「広報おおつ」。紙媒体として現在は年22回発刊され、1回の発行部数は約11万部。しかし、地域によっては必ずしも全戸配布されてはいない。紙媒体と全く同じ内容は、大津市のホームページにWEB版が掲載されている。36の支所から各自治会へ配布も可能である。「各世帯への自治連合会経由の配布はそもそも必要ない」とする市民の声も少なくない。
自治会を所管する大津市自治協働課は、報償金のチェック態勢について「市政協力への謝礼金なので領収書の添付を義務づけていない。(現行の運用で)問題はない」としている。

参考資料1「大津市自治会等報償金支出要領」

参考資料2「2013年大津市自治会等報償金」

参考資料3「2013年大津市自治会報償金等(学区別)統括表」

参考資料4「2013年学区自治連合会長報償金」

参考資料5「市から自治連への連絡文書(報奨金について)

参考資料6「広報課/広報おおつ配付等の概要」

参考資料7「大津市から、自治会関係への報償金は、年間合計約1億円の図解」

大津市から自治連の報償金図解1