大津市の財務に関する事務が適正に行われているかをチェックする監査委員は、琵琶湖市民清掃の補助金が不透明だと京都新聞が昨年末に報道した後も、条例に基づく臨時監査を行っていない。領収書の提出を求めずに補助金を支出している自治協働課に対しても、黙認しようとしていることが、職員の説明で明らかになった。

5月19日、監査委員事務局から添付ファイルで回答が届いた。監査委員事務局に対する質問と、事務局からの回答は下記のとおり。

「大津市自治協働課が複数の任意団体に支出している補助金があります。団体から提出された実績報告書ですが、2014年まで領収書が全く添付されていない事業が多数存在したことが情報公開請求により判明しました」

1、監査委員事務局では「領収書」がないのに補助金を支出していた課の実態を把握されていましたか?
回答:「毎年実施している定期監査において、補助金交付事務についても監査の対象としておりますが、抽出により実施しており、全ての補助金について把握しておりません」

2、「領収書」が添付されていないのに、補助金を支出する行為は問題ないのでしょうか?
回答:「補助事業者から実績報告を受けた場合においては、所管課において補助事業の成果が補助金の交付の決定の内容及びこれに付した条件に適合するか否か又決算書だけでなく帳票や領収書など証憑書類の確認を行うことになります」

3、「領収書」が添付されていないのに補助金を支出していた課が判明した場合、監査委員は、条例に基づいた対応をどうされるのか具体的に教えて下さい。
回答:「監査の結果、領収書の有無に関わらず、使途不明瞭であるなど補助金交付事務に関して不適切な事業があった場合は、その都度、所管課に改善や是正について指導を行うほか必要に応じて地方自治法199条第9条の規定による監査の結果に関する報告へ記載し、議会及び市長等へ提出するとともに、大津市公報に掲載して公表を行っています」

【解説】

1について。「把握していない」と監査委員事務局は答えているが、5年間全く領収書がない事業が複数あった。過去を溯ると数十年年前から支出していた事業もある。数十年間も「領収書」がない状態なのに、気付かない大津市の監査委員は「眠っていた」としか言いようがない。

2について。「問題がないか」を質問しているのに、回答は事務手続きの一般的なやり方を説明しているだけである。行政改革推進課の「回答」と同じ文言。両課とも同じ回答マニュアルが存在すると推察される。

3について。「領収書」がないということは、使途について説明がつかないということ。自治協働課に対して、条例に基づいた臨時監査を行うのかと尋ねると、「(臨時監査は)しないことになった」と職員が回答。しかし、その理由についての説明はない。

5月19日監査委員事務局の回答

監査委員の仕事ぶりは、どこの自治体でも疑問があがっている。古くからメディアもこの問題を指摘してきた。
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