大津市はこれまで、まともに補助金をチェックしたことがない。問題が指摘されるたびに「透明性を高める」などと改善の素振りを見せる。ところが、実際は何も改善されていない。大津市は実績の伴わない〝ポーズだけの反省〟パターンを繰り返し、市民を欺いている。

琵琶湖市民清掃の補助金をめぐる問題を新聞報道が指摘したのは、今回が初めてではない。2012年12月26日に京都新聞が「大津・自治連補助金 不正疑惑 /市、管理体制提案へ」と報道。大津市青山学区自治連合会に支出した補助金の一部が不正使用された疑いが明らかになったとして、市はチェック体制を厳しく するという方針を決めたと伝えている。

昨年(2011年)7月の琵琶湖の一斉清掃をめぐり、大津市が青山学区自治連合会に 支出した補助金の一部が不正使用した疑いが明らかになった問題で、これまで領収書などで適正使用を判断していた同市は25日までに、詳細な購入品が明示されたレシートなどの提出を求めるチェック体制を厳しくする方針を決めた。
琵琶湖の一斉清掃は、大津市では1972年から実施され、市や自治連合会などでつくる「琵琶湖を美しくする運動実践本部」が主催。例年、約500万円の補助金が市から同本部に支給され、市内の全36学区の自治連合会に分配されている。
昨年(2011年)、青山学区に分配されたのは約11万円。同学区はパッカー車の使用料5万円と、ごみ袋など消耗品約6万円を計上、市に報告した。清掃とは 無関係とみられる日用品も含まれていたが、市環境政策課の担当者は口頭で確認しただけだった。京都新聞が情報公開請求したところ、昨年(2011年)、購入品目が明示されていない領収書などで報告したのは計16学区あった。同課は「自治連合会との信頼関係を前提に、領収書の確認だけで済ませてきた」といい、来年(2013年)の同本部役員会で新たな管理体制を提案する。(京都新聞 2012年12月26日、括弧内の西暦は編集部が追加)

このように、市環境政策課は2012年の段階で、本部役員会で新たな管理体制について提案するとした。ところが、その本部役員が所属する2学区で「ごみ運搬車に缶ビール謝礼」など不適切な使途が新たに発覚。昨年末に京都新聞が報道した。さらに本サイトも独自の調査報道を行い、関連するさまざまな問題を報じてきた。

市環境政策課は昨年12月、「飲酒運転を誘発する可能性があり、ふさわしくない」と改善を求めていることを明らかにし、自治会分の領収書未添付については「自治会が使った分までの領収書提出は求めていない。資料が膨大になり、事務量が増えるためで、良識に任せている」とコメントしている。(京都新聞 2015年12月31日)

つまり、市環境政策課は、琵琶湖市民清掃の補助金の不適切な使途が発覚する度に「チェックを厳しくする」とのコメントを繰り返している。しかし、実際は何ら改善していなかった。今年3月までに監査委員による定期監査が入っても、「良識に任せていた当時の判断に問題はない」と、開き直りとも取れる発言を京都新聞(2015年5月31日)に寄せている。

従来のパターンを踏襲し、市は今回またしても「より透明性を高めることが必要」だとコメントしたこの種のコメントが、これまではまったくのお題目に終わっていることを、残念ながら、京都新聞の記事は伝えていない。