琵琶湖市民清掃を実施する任意団体「琵琶湖を美しくする運動実践本部」について、大津市監査委員から「任意団体の会計を独立して行うことが望ましい」と指摘を受けた問題で、会計事務だけを週1回担当するアルバイト職員を「実践本部」が初めて雇用していたことが、情報公開制度によって開示された資料から明らかになった。

アルバイト雇用は市側が提案し、「実践本部」がかなりの難色を示したものの、最終的に同意した経緯も分かった。これまで「実践本部」の事務作業は、大津市環境政策課の職員が無償で担ってきた。監査委員からの指摘を理由に、市側が事務作業を「実践本部」側に戻そうとしたのに対し、市の職員任せを望む「実践本部」側がこれに強く反発し、抵抗していた様子がうかがえる。「実践本部」が長年、事務作業を大津市の職員に丸投げし、それを当然のことだと認識していたことが裏付けられた。

開示された資料は、2014年4月22日の「琵琶湖を美しくする運動実践本部」の役員会の議事録。それによると、役員会に出席したのは、安孫子平次本部長(当時)ら計18人の役員と、環境政策課の職員5人で、アルバイト職員を雇用することを決めている。予算に限りがあるため、実践本部以外の3つの大津市環境団体と協同で雇用する形にするとしている。

詳しいやりとりを見ると、「実践本部」の役員の1人が「年間●●●円(金額非開示)を支出してまで会計事務職員を雇い、市から会計事務を切り離さなければならないのか」と質問。これに対し、事務局の市職員が、「常勤職員1人を雇用するだけでも、年間二百数十万円必要になる。予算確保が難しいため、最低限、会計事務だけでも独立をということで監査委員にも理解してもらい、週1回勤務の臨時職員を雇用することになった」と答えている。

任意団体の事務を市から独立させるということについて、参加した役員の1人が「これまで市が事務を担っていたのに、なぜ、今、切り離そうとするのかを説明してほしい。市は、住民を信頼して市民運動を支えていこうと思っているのか甚だ疑問」となおも抵抗。それに対して、事務局の市職員は「大津市の監査委員より、(市が事務を執行する法的根拠のない)任意団体の事務は市から独立して行うことが望ましいとの指摘がありました。また、大津市において、ある任意団体の会計事務を担当していた市職員が私的流用を行なっていたという事件があり、今後の防止策として、各任意団体において、会計部分を市から独立させる必要はあったためです」と説明している。

「実践本部」は本部長、副本部長3人のほか、会計、事務局長、事務局次長などを置いている。2013年度の会計担当者は滋賀県建設業協会大津支部に所属。事務局長と事務局次長は、いずれも大津市青年会議所に所属している。しかし、事務局はこれらの団体の中には置かれず、大津市環境政策課に置かれている。

 

参考資料1「2014年度 琵琶湖を美しくする運動実践本部 役員会次第」

平成26年度役員会次第_01

参考資料2「2014年度 琵琶湖を美しくする運動実践本部 役員会/予算案質疑」

平成26年度役員会/予算案質疑_01

参考資料3「2014年度 琵琶湖を美しくする運動実践本部 役員会/役員名簿」

(注)当サイトで役職名を赤枠にして追記

 

平成26年度役員会/役員名簿_02