【ポイント】

 学区自治連合会長になると、大津市から様々な恩恵を受けられます。

  • 個人口座に、年間13万円が報償金として振り込まれます。使途の報告は不要です。
  • 個人負担することなく、研修旅行に参加できます。市職員が随行してお世話をしてくれます。報告は不要です。
  • 補助金(税金)をつかい、飲食できます(琵琶湖市民清掃など)。
  • 総会を琵琶湖ホテルで行ない、その後の懇談会は大津市の公金(税金)から飲食費を充ててもらえます。
  • 退任したら、大津市が公金(税金)で記念品をプレゼントしてくれます。
  • 大津市の付属機関の委員会に、「市民団体枠」の委員として選出されます。
  • 委員に選出されると、大津市から委員報酬を受け取れます。議員報酬と同額です。
  • 収支や事業活動を住民に知らせなくてもOK。任意団体なので、違法性は問われません。
  • 総じて“議員並み”の待遇です。市職員が至れり尽くせりで段取りしてくれます。

【解説】

大津市の学区自治連合会長の任期がなぜ長期化するのか。会長職に就くことで一種の“特権”を得られるからではないか。

大津市は様々な恩恵を与えている。例えば、年間13万円の「自治連合会長報償金」が、大津市から個人通帳に振り込まれる。市の補助金なので、本来は何に使ったかを報告する義務がある。しかし、大津市はそれを求めていない。したがって、事実上、会長個人が自由に使うことができる。これとは別に、各36学区の自治連合会には、組織に対して多額の報償金が与えられる。使途は自由に決めることができる。

学区の自治連合会長は、このような報償金を受け取りながら、会議後の懇親会や研修旅行も、公金(税金)や自治会費で参加できる。他の任意団体の役員も兼務し、補助金で飲食をしていた自治連合会長もいた。大津市の各委員会にも市民団体の代表として参加して、委員報酬を受け取れる。これだけたっぷり大津市から恩恵を受けていながら、市民に事業内容を知らせなくても違法性は問われない。

「議員になるより簡単に議員並みの待遇を受けられる。一度、自治連合会長になったらやめられない」という指摘もある。中には、36年間も自治連合会長を務めた人物もいる。自治連合会長が“地域ボス”として君臨してるのではないか。その責任の大部分は、補助金を野放図に与え続けてきた大津市にある。

全国の自治体には、自治会(町内会)に対して、組織にも個人にも、補助金をまったく支出していないところが少なくない。自治会(町内会)は町内の住民から徴収する会費を収入源として、役員は無報酬のボランティアで活動している。こうした例に比べると、任意団体である大津市の自治連合会が、特別待遇を受け、特に役職者が“特権”を独占していることが分かる。