大津市が地区環境整備事業(迷惑料)として伊香立学区の自治会に支払っている1.5億円の補助金が違法であるとして、加藤英子さんら市民8人が住民監査請求をしたが、市監査委員は12日、請求を棄却した。「必要が認められない違法な支出である」という指摘について、市監査委員は「公益上の必要性に関する判断において裁量の逸脱または運用があるとは認められない」とした。代理人の折田泰宏弁護士は「想定の範囲内の結果だ。大津市は内部からの改革ができないことがよくわかった。粛々と裁判に移りたい」と話している。

監査結果によると、加藤さんらが、補助金の使い方に問題があると指摘した、香の里史料館や伊香立学区自治連合会の駐車場などについて、市監査委員はいずれも「公益性がある」などと判断した。

しかし、監査委員は長文の「意見」を添え、「現行の事業を前提とするのではなく、社会状況に即応した事業内容を目指す観点から、適宜検証することが望ましい」、補助金の目的や効果を考えて「あるべき方向性について、さらに精査、検討する必要がある」などと、大津市に対して複数の注文を付けた。

一部の自治会へ「自治振興対策事業補助」として、毎年、用途を定めないまま多額な公金を支出しているという市民らの訴えに対して、越直美市長は「公益上必要かどうかを判断している」と意見書を添付した。越市長は1月の市長選でも行政改革を公約に掲げたが、今回の意見書の中では、「自治会の役員報酬費、事務員報酬費、夏祭りなどの各種事業や、研修旅行などは、公益上必要な補助金だ」としている。

○請求をした加藤英子さんの話

「結果にはあきれた。監査委員は、補助金の使い方に問題があると指摘しながらも、市民の請求を棄却した。こんな監査委員はいらない。“税金泥棒”だとしか言いようがない」