琵琶湖市民清掃の実施要綱が今年度(2016年度)から大幅に変更された。このシリーズでは昨年(2015年度)の実施要綱と比較しながら、数々の疑問を明らかにしてきた。(文書上、今年度から加えた文面を赤枠で囲んである)

解説シリーズ第7回は、2016年度の実施要綱に書いている「実績報告」の問題である。大津市と任意団体「琵琶湖を美しくする運動実践本部」は、実施要綱に44年目にして初めて「実績報告」を報告するよう記載した。昨年度までは実施要綱に「実績報告」の項目さえなかった。各学区に対して、参加者数やごみ量などを報告するよう求めている。

しかし、一番肝心なことが抜け落ちている。大津市からの補助金の実績報告書については、一切触れられていない。つまり、補助金の使い方がまったく分からないままになっている。琵琶湖市民清掃の実績報告書に記載された不透明な支出と不適切な使途については、これまで批判が相次ぎ、何度か新聞報道でも取り上げられた。それなのに、「実践本部」の実施要綱には、補助金の総額も、実績報告についての詳細な説明もない。これでは本当の実績報告とは言えない。

2010年度の実績報告書には、領収書が1枚も添付されていない学区が複数あった。問題の学区の1つは瀬田学区。同学区自治連合会長は、2014年度と2015年度に、大津市自治連合会長と「実践本部」の本部長に就任している。

大津WEB新報は、領収書が1枚も添付されていない不透明な実績報告書の問題を取り上げている。例えば、2015年1月24日「領収書なしで謝礼金/「実践本部」本部長の瀬田学区/市は黙認/市民清掃№11」で大津市の対応を、2015年1月23日「市と実践本部一体化/支所長と自治連/瀬田学区/市民清掃№10」で、瀬田学区支所長の対応を批判している。

今年度から実施要綱に、参加者数などを求める「実績報告」という項目を加えたのは、「実践本部」が「やるべきことをしっかりやっています」という、表向きのポーズに過ぎないのではないか。大津市の甘いチェック体制は依然として続いている。

大津市の補助金を使う以上、各学区に共通する収支決算書のフォーマットを作り、いつ、どこで、何に使ったのかを示す領収書の添付を義務付けるべきだろう。大津市はホームページに「実施要綱」を掲載しておきながら、何をやっているのか。自らが支出した補助金がどう使われるのかを厳正にチェックするのは、言うまでもなく大津市の責任である。

大津市のトップは越直美市長である。琵琶湖市民清掃当日に、仮置き場の現地を視察して、分別ステッカーを貼るより、補助金の使い方をチェックする方が先だろう。

↓平成28年度 琵琶湖市民清掃実施要綱 2P

平成28年度 琵琶湖市民清掃実施要綱_09

 

↓平成27年度 琵琶湖市民清掃実施要綱

平成27年度 琵琶湖市民清掃実施要綱_01

↓2010年瀬田学区の琵琶湖市民清掃

img013