滋賀県内で行われる琵琶湖の一斉清掃は、もともとは、主婦たちによる「びわ湖を守る粉石けん使用推進運動」が由来で、そこから県の美化条例制定に発展した。それが県内の一斉清掃につながっている。

滋賀県環境政策課のホームページ/びわ湖の日のひろがり

ところが、大津市だけは、県内の他市町と連携することなく、違う団体を作って、美化活動を行っている。その背景を探るため、滋賀県が支援して18市町が参加している「美しい湖国をつくる会」の活動と、大津市が支援して単独で活動している「琵琶湖を美しくする運動実践本部」の活動を比較しながら検証していく。

過去の琵琶湖市民清掃では、大津市が保有しているパッカー車を稼働させない一方、無許可業者に謝礼金を支払い、一般廃棄物を市の処分場に搬入させていたという実態が明るみになった。それだけでなく、大津市は、滋賀県内の市町が入っている「美しい湖国をつくる会」に参加しておらず、別の団体(琵琶湖を美しくする運動実践本部)に参加していることは、既に弊サイトでも取り上げている。

滋賀県には、「ごみの散乱防止に関する条例」いわゆる美化条例がある。第12条に、「環境美化の日の設定として、びわ湖の日ならびに5月30日および12月1日を環境美化の日とする」とある。滋賀県環境政策課のホームページには、びわ湖の日の成り立ちが、詳細に書かれている。

しかし、大津市環境政策課のホームページには、びわ湖の日とは何なのか、7月に県下一斉に清掃するようになった由来について、何も説明がない。

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↓滋賀県環境政策課ホームページから抜粋/びわ湖の日とは

7月1日は「びわ湖の日」

1980年(昭和55年)7月1日、滋賀県は全国に先駆けて、びわ湖の富栄養化の原因となる窒素、りんの排出規制等を定めた「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」(琵琶湖条例)を施行しました。その翌年の1981年(昭和56年)、琵琶湖条例の施行1周年を記念して、7月1日を「びわ湖の日」と決定しました。

琵琶湖条例施行1周年

 

 

その後、1996年(平成8年)7月に施行された滋賀県環境基本条例で、県民および事業者の間に広く環境の保全についての理解と認識を深めるとともに、環境の保全に関する活動への参加意欲を高めるため、7月1日を「びわ湖の日」と定めています。

 

「琵琶湖条例」制定の背景

湖沼などの水中に溶けている窒素やりんなどの栄養塩類が多い状態になることを富栄養化といいます。琵琶湖では富栄養化が進み、1977年(昭和52年)5月に淡水赤潮が大規模に発生し、水道水の異臭味障害、養魚場でのアユ、コイなどの斃死被害などをもたらしました。

淡水赤潮の原因の一つが合成洗剤に含まれているりんに起因することがわかり、県民が主体となって、合成洗剤の使用をやめ、粉石けんを使おうという運動(石けん運動)が始まりました。その県民による石けん運動の盛り上がりなどを背景に施行されたのが「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」(琵琶湖条例)です。

石けん運動

 

びわ湖を守る県民運動

びわ湖を守るため、粉石けんを使用するといううねりの中で、1978年(昭和53年)に主婦層を中心に「びわ湖を守る粉石けん使用推進県民運動」県連絡会議(石けん会議)が結成されました。「多少の不便があっても、それがびわ湖を守ることになるなら、私たちは粉石けんを使いましょう」とアピールしました。

「びわ湖を守る粉石けん使用推進県民運動」県連絡会議は、1988年(昭和63年)、広くびわ湖の水環境を守る「びわ湖を守る水環境保全県民運動」県連絡会議(びわ湖会議)に改称し、結成30年を迎えた2008年(平成20年)5月、社会情勢の変化等を踏まえ解散しましたが、びわ湖会議の精神と経験は県内外の様々な環境保全活動に引き継がれています。

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