大戸川ダム建設事業の凍結期間中に、事業を所管する国土交通省近畿地方整備局の職員が、大津市南部自治連協議会の懇親会に参加していた問題で、大津WEB新報の取材に対し担当職員が「洪水を防ぐため、ダム建設は必要」と述べていた。近畿地方整備局の事業評価監視委員会は先月、大戸川ダムについて審議し、「事業継続」が妥当との結果を公表している。凍結期間中に関わらず、近畿地方整備局は約2年前から“推進”の方向に向かっていたことが裏付けられた。

国交省が所管するダム事業は2009年、大戸川ダムを含め、本体工事未完の事業全てが、「全国検証対象事業」となった。ダムが必要かどうか、国が「検証する」というプロセスに入った。

国交省近畿地方整備局は、大戸川ダム予定地にある大戸川工事事務所を所管している。同局の担当職員は2014年8月、大津WEB新報の電話取材に対して、大江戸川ダム事業について「国の整備計画にはめ込まれてしまった」と、事業が中断している状況を説明。さらに「京都の下流の改修工事は進められている。淀川水域は広いので、滋賀県やどこか1つの県の意向だけでどうなるものでもない。環境に負荷のかからない『流水ダム』方式で建設予定だ」と、計画を前へ進めたい意向を示した。

また、「全く環境に影響はないのか」という質問に対しては、「全くないとは言い切れない。どこかの下流の水域は枯渇するかもしれない」と答えた。しかし、洪水などの被害を食い止めるために、ダム建設は必要であると説明した。

一方、国交省水保全局治水課の担当職員は2014年8月、大津WEB新報の電話取材に対して「ダムが必要かどうかをニュートラルに検証する」と明言。「大戸川ダムについては、4知事の意向もあり、国としては積極的に進めるというよりは、状況をみて対応する。整備をしたいが検討もする。毎年、大津市からは、建設推進の要望書が出ている。内容までは確認しないとすぐには答えられない」と説明していた。

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