地域コミュニティの調査報道

「自治会問題」メディアによる報道/毎日新聞


「大津市は異常」と指摘/毎日新聞の日野記者/自治会№16

2003年3月、大津市に「報償金訴訟」を起こした加藤英子さんたちが中心になり、しが自治会オンブズパーソンを立ち上げた。顧問は、京都・市民・オンブズパーソン委員会代表の折田泰宏弁護士。その第2回総会に、大津市の自治会問題の取材を経験した毎日新聞の日野行介記者(当時は福井支局)が「寄稿文」を寄せていた。

税金が一部の人々によって恣意的に使われている」、「大津市の異常さを示すエピソードには事欠かない」、「腐敗臭すら漂う」などと舌鋒鋭い。

この寄稿文について日野記者は、「今読み返すと、若気の至りというほかない拙い内容で恥ずかしくなります」としながら、次のようなコメントを寄せた。

国政に限らず民主主義を維持するうえで必要なのは一人一人の参加と、意見の反映です。そのためには意思決定過程をリアルタイムに、そして責任を明確にするため事後的にも透明にする必要があります。行政情報は国民、市民一人一人のものです。

2003年3月9日「しが自治会オンブズパーソン」/毎日新聞の日野記者寄稿文①

2003年3月9日「しが自治会オンブズパーソン」/毎日新聞の日野記者寄稿文②

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「市政に君臨する自治連合会」/メディアが一斉に報道/自治会№15

大津市と大津市自治連合会の問題は、約15年前、マスメディアが大きく取り上げた時期があった。2000年に大津市の市民が報償金問題について問題提起し たのをきっかけに、各メディアが一斉に報道した。当時の報道資料を調べてみると、地元紙では滋賀報知新聞の石川政実記者、全国紙では朝日新聞の下地毅記者 と毎日新聞の日野行介記者らがそれぞれ、深く切り込んでいた。当時、「市政に君臨する自治連合会」「問われる支出の根拠」「改善策を考える時期」など、メ ディアが大津市に突き付けた問題は、15年経っても変わらず、抜本的見直しの兆しさえ見えない。

当時、大津市民の加藤英子さんが「自治会に対する報償金は違法だ」として、大津市を相手取って訴訟を起こした。毎日新聞の日野記者は、原告側と市と自治連側の主張を取り上げ、「自治会の在り方」を追及していた。2001年2月22日の記事はこう報じている。

 市自治連合会に支出された報償金から、研修という名の視察旅行に使われている。宿泊施設は温泉旅館で、行き先は観光地。市自治協働課の職員が職務として公費で随行していることに対して、原告の加藤英子さんは、研修という名ばかりの温泉旅行と怒りをあらわにしている。
一方、市自治連合会の山本俊一会長は「内容は研修視察。観光に見えるかもしれないが、自治の先進地域に関する勉強は必要」と反論する。市の住民自治課も 「自治連合会に支出した報償金から研修視察の旅費が出ているかどうかは分からないが、そうであっても問題ない。研修を通じて自治会活動に関する見聞を広め ることは必要」という。

原告側の折田泰弘弁護士と住民は、市の報償金支出についての説明に対して、異論を唱えていた。折田弁護士のコメントを引用しつつ、日野記者は次のように報じている。

  「条例に基づかない支出とは、逆に歯止めがないということ。内閣官房機密費のようなものだ。自治会のさらに上部組織に報償金を支払うのは二重払いでおかし い」と反論。一次提訴後に会見した住民の1人は「自治会員を辞めたら広報誌が配布されなくなった。義務であるべき公共サービスが、自治会非加入を理由に差 が出るのはおかしい」と訴える。

また、日野記者は自治会の定義を引用しながら、市が言う「任意団体」の説明にも疑問を投げかけていた。

 同一地域内で一定数の世帯が新たな自治会を作った場合、任意団体である以上、市としては認めるほかないと思うが、市住民自治課は「あくまでも地縁に基づく団体。任意団体であっても同一地域内で二つの異なる自治会は認められない」と話す。

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