大津市の越直美市長は12月15日の定例記者会見で、保育園の整備によってフルタイムで働く女性が増えたと断定的に説明した。しかし、その資料は担当課が、根拠となるデータがないまま「推察」で作成していたことが明らかになった。越市長は担当課の「推察」を、記者会見でまるで確定した事実のように述べてしまったことになる。
根拠資料は2009年からの5年間
越市長は記者会見で次のように説明した。「これまで保育園の整備ということに力を入れてきて、過去4年間でもそのことによって合計特殊出生率が0.1近く、0.09上がりましたし、フルタイムで働く5歳以下の子どもを持つ女性の方が50%増えました」
大津WEB新報が担当の保育幼稚園課に、この説明の根拠となるデータを求めたところ、市内女性の特別徴収対象者数の2009年から2014年までの5年間のデータから、伸び率を算出していたことが分かった。しかし、越市長の施策として政策に反映されるのは、2013年と2014年の2年間だけだ。
資料には最後になって「保育所の整備をはじめとする子育て環境の整備が影響しているものと推察される」との文言が登場するが、保育所の整備と働く女性の増加を結び付けるデータは何も示されていない。
フルタイムだけでない
資料に記載された特別徴収者数は、フルタイムで働く人と限定したものではなく、パートや非正規雇用も含まれている。しかし、越市長の会見録では「フルタイム」を強調している。2008年にはリーマンショックが起き、社会不安や雇用状況の変化など、多種多様な要因によって特別徴収者数が増加したと考えられる。しかし、越市長は「(自身が進めた)保育園の整備で、フルタイムで働く女性が増えた」と断定している。
↓2016年12月15日定例記者会見/市長挨拶
↓12月定例記者会見で市長が話した内容の根拠資料/保育幼稚園課