伊香立支所長と職員が伊香立学区自治連合会の宴会に参加していた問題をめぐり、大津市人事課は「市職員倫理条例に違反しない」という見解を示した。その理由を、自治連との関係において支所長は「利害関係者」ではないからだとしている。人事課によると、利害関係にあたる職員は、「補助金を支出する直接の事務決裁を行う職員」、つまり、自治協働課の職員が該当するが、支所長は該当しないという。
2015年3月16日に倫理条例を公布
大津市は、越直美市長名で迷惑料(施設整備課所管)や、報償金、補助金(自治協働課所管)など、伊香立学区自治連合会に多額の公金を毎年支出している。しかし、人事課の解釈によると、市職員倫理条例は、大津市と交付先の団体との「利害関係」が適用されず、事務決裁者との「利害関係」だけが問われる。
倫理条例の目的は「市民の信頼性の確保」
この条例は2015年3月16日に公布されている。目的は「職員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する市民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する市民の信頼性を確保すること」と規定されている。
各支所は、自治協働課の業務の一端を担っているが、直接的な補助金決裁の事務を行っていない。それを理由に人事課は、支所長が勤務時間中に自治連が主催する宴会の準備を手伝い、自費で宴会に参加するのは問題ない、と判断した。
狭小な倫理条例で「抜け道」だらけ
直接的な事務決裁者だけを利害関係者とするように、対象者を狭くとらえる職員倫理条例では、今後も、公金を支出する市と受ける団体との間で、不適切な関係が放置されることになる。自治会負担で市職員が飲食をしていた問題が新聞で報じられた直後に、こうした問題が再浮上した。鳴り物入りで公布した「倫理条例」だが、抜け道だらけという実態に、批判が高まっている。
↓平成27年3月16日号・大津市公報/市長・職員倫理条例の交付
↓利害関係者との飲食に係る届出書