上記写真:“不適合”と判定された長等公園(大津市小関町)の滑り台/滋賀報知新聞撮影

大津市の越直美市長が3月10日の記者会見で、中日新聞記者から「大津市内の遊具156件が基準に不適合だったという報道について、市長の対策は?」と尋ねられ、「確認中」としか答えなかったことが、記者会見録で明らかになった。さらに報道後1週間が過ぎているのに「報道の内容が真実かどうか確認できていません」と、所管課に事実確認をとっていなかったことも明らかになった。越市長は子育て対策をウリにしながら、子どもの安全に対する危機管理は極めて甘いことが露呈した形だ。

公園緑地協会が管理している遊具の不具合については、3月2日に滋賀報知新聞が報道している。「東京都や大阪市で今年1月、遊具による子どもの死亡・重体事故が相次ぐなか、大津市の都市公園で「不適合」と判定された遊具156基が8年経っても改修されずに放置されている」などとしている。

この日の記者会見で、「報道の通りですと、5分の1か、4分の1にあたる遊具が使用禁止にしなければならないぐらい不適合なもの。報道にふれた親御さんたちが心配していると思うが、市長の受け止め方は?」と質問されると、越市長は「報道の内容が真実がどうか確認できていません」と述べた。

↓3月10日の中日新聞記者の質問/公園緑地協会が管理している遊具の「不適合」について

 

↓滋賀報知新聞の記事を転載

http://www.shigahochi.co.jp/info.php?type=article&id=A0023177

大津市「不適合」遊具156基、財源不足で8年放置
■平成29年3月2日(木) 第17744号
=修繕めぐって責任なすり合い=
 

◇大津
 東京都や大阪市で今年1月、遊具による子どもの死亡・重体事故が相次ぐなか、大津市の都市公園で「不適合」と判定された遊具156基が、8年たっても改修されずに放置されていることが本紙取材で分かった。指定管理者として同市から公園管理を委ねられる大津市公園緑地協会は「財源不足で手が回らなかった」と弁明するが、公園遊具の安全管理に対して厳しい視線が注がれる中、批判の声が高まりそうだ。(高山周治)

指定管理者の公園緑地協会「設置者の市の責任で」
大津市「協会が指定管理料で実施を」

同協会によると、一斉点検は、市内157公園の遊具656基を対象に、2008年12月から翌年3月まで実施された。
 点検は、遊具メーカーでつくる団体「日本公園施設業協会」の専門家が、国交省の指針に従い協会で定めた安全基準に照らして、手足や指を挟んだり、あるいは落下して首をひっかける箇所はないかなど調べ、ハザードレベル0~3の4段階で総合判定した。
 その結果、「生命に危険、あるいは重度の恒久的な障害をもたらしうる」として要改善とされ、最も厳しい「ハザードレベル3」が、遊具全体の2割にあたる83公園156基にのぼった。この結果は市へ報告された。しかし国交省の指針に使用禁止は定めず、判断は各自治体に任せられている。このためか、修繕されず、使用も続けられている。
 これについて大津市公園緑地協会は「決まった額の指定管理料から多額の修繕費用をねん出するのは難しい」と釈明する。
 同協会は現在3期目(2014年度~18年度)の指定管理を市から受けており、今年度の指定管理料約5億4800万円のうち、公園管理費は約2億900万円。同費用の内訳は樹木せん定や除草、清掃などが約2億円を占め、残り約900万円をベンチやトイレ、遊具の劣化箇所の修繕に充てている。
 このような状況から、多額の費用がかかる遊具の安全基準を満たすための修繕について「都市公園の設置者である大津市の責任で実施してほしい」と、要望してきた。
 これに対して大津市公園緑地課は「指定管理料には安全基準をクリアーする修繕費も含まれており、これまで更新してほしいと伝えてきた」と対立し、主張は平行線をたどっている。
 今回の両者の対応について安全基準を定める日本公園施設業協会は「ハザード3は本来、使用禁止にするレベル。管理者は放置しないで、適切なタイミングで修繕、更新してほしい」と指摘している。
 また、都市公園の安全管理強化の指針を出す国交省公園緑地・景観課は「公園管理の責務として適切に安全管理すべき。財政的に厳しいのであれば、国の支援メニューを活用してほしい」としている。