【解説】なぜ市民ボランティア事業に1000万円?

美化活動に当てる大津市の予算は、年間1000万円を超える。滋賀県内の自治体の中で突出している。なぜこれほどの予算が必要なのだろうか。ごみを集める実働部隊はボランティアの市民。大津市が法律や条例が定める通りに、美化活動のごみとして無料回収すれば、本来はほとんど費用はかからないはずだからだ。他市町で構成される「美しい湖国をつくる会」は、同じような美化活動を主催しているが、各市が受け取っている補助金は10万円から13万円にすぎない。見えてきたのは、壮大な無駄だ。

約1000万円の内訳を見ると、市自治連合会が母体となる任意団体「琵琶湖を美しくする運動実践本部」(以下、実践本部)へ年間560万円が渡っている。幹部へのビール代など、不適切な支出が多く存在する実態は、これまで弊サイトでも指摘してきた。

琵琶湖市民清掃でわざわざ「仮置き場」を設け、迂回させるルートは、実践本部と大津市が結託して作り上げたとしか言いようがない。大津市は琵琶湖市民清掃当日に限って、大型パッカー車を稼働させない。民間業者に運搬させる機会を意図的に設け、利益誘導していると指摘されても仕方がないだろう。その一方、市民に対しては美化運動の名目で無償で活動させている。これは、市民に対する背信行為である。

琵琶湖市民清掃では、2ヶ所の処分場で廃棄物を収集している。1つは伊香立廃棄物最終処分場(北部)。もう1つは、大田廃棄物最終処分場(南部)。伊香立処分場では直接搬入をさせ処分しているが、大田処分場ではその手前に「仮置き場」をつくり、学区が運んだ廃棄物(ゴミ)を積み下ろしている。市環境政策課は当初、処分場に直接搬入させないことについて「地元と交わした覚書がある」と説明していたが、実際には存在しないことが分かった。

事業で出た廃棄物を業者に依頼する時は通常、法律に則って「一般廃棄物の許可業者」に依頼しなければならない。他の自治体では、HP上で一般廃棄物許可業者に収集依頼するよう呼びかけている。しかし、大津市の廃棄物減量推進課は、実践本部が無許可業者に謝礼金を渡して収集運搬させていることを黙認しながら、10台あるパッカー車を休ませている。

地域の団体がボランティア清掃をした時、収集依頼書を提出すれば、大津市のパッカー車が無償で回収する仕組みになっている。ところが、琵琶湖市民清掃ではこうした基本情報を市民に伝えていない。

このような実態からすれば、市民による美化活動に名を借り、大津市と自治連合会が示し合わせて、自治連の幹部と廃棄物処理などの業者に、大半のカネが流れ込むようなシステムを作り上げているとしか説明がつかない。

今回、ノーポイ運動や啓発活動などの「ごみ減量と廃棄物減量推進会議」(以下、推進会議)へ約239万円が渡っていることも新たに分かった。「推進会議」の役員は、琵琶湖市民清掃の「実践本部」とほぼ同じメンバーが担い、会長は大津市自治連合会長が務めている。総会資料の事業報告には「市民・事業者・行政が一体となってごみ減量と再資源化に取り組む」としている。実践本部と同じように、推進会議の活動も不透明だ。

参考資料1「滋賀県/2013年度「美しい湖国をつくる会」環境美化事業補助金」

参考資料2「大津市/2013年度 ごみ減量と資源再利用推進会議の事業方針」

参考資料3「大津市HP/美化活動等に伴うごみの収集依頼書」