大津市から補助金を受け取っている任意団体、大津市自治連合会が開催する総会後、市の職員と合同で豪華な懇親会を60人規模で毎年開いていることが分かった。懇親会の会場は琵琶湖ホテル。5月12日に開かれた懇親会には、大津市から19人の職員が参加し、飲食費計11万4000円(職員1人当たり6,000円)を公費で負担している。市は懇親会の目的について「意見交換のためだ」と説明している。しかし、一般の自治会員からは「自治連の総会がいつ、どこで行われているのかさえ知らされていない。なぜこんな豪勢な懇親会を高級ホテルで開く必要があるのか」と批判の声が上がっている。

市職員や琵琶湖ホテル側の証言によると、昨年は5月に総会が開かれた直後に懇親会(名称は「懇談会」)が開かれた。料理は1人8,000円で、ビールなどアルコール類を含む飲み物も出されている。参加者は、36人の自治連合会長と市職員を含めた61人。部長級は総会に参加せず、懇親会だけ参加しているという。

今年の総会は、5月12日に開催。総会終了後、午後6時から琵琶湖ホテルで懇親会が開かれた。この席には、36人の学区の自治連合会長と19人の市職員、5人の旧自治連合会長が参加。自治協働課の職員は「会費は6000円。目的は意見交換のため」と説明している。しかし、なぜ懇親会の席でなければ意見交換できないのかは、説明していない。

市と自治連の懇親会については、過去にも市民から「不適切な支出だ」として住民監査請求を起こされている。2002年3月20日付の朝日新聞の報道によると、市民団体「しが自治会オンブズパーソン」のメンバー10人が、山田豊三郎市長(当時)に懇談会費約280万円の返還を求める監査請求を起した。監査請求によると、毎年1回、学区自治連合会長や元会長、市長や部長ら約60人が出席し、1人当たり約1万円の酒食が振る舞われたという。当時の市自治振興課(現自治協働課)の職員は「住民の代表とまちづくりについて意見交換をするための懇談会で違法ではない。1人1万円の支出も社会通念上、妥当な範囲と考えている」と話している、と報じた。

この後、監査請求が棄却され、裁判に移行し、大津地裁は2003年12月、「多くとも単価6,000円までをもって相当な支出というべきであって、特段の事情のない限り、社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものであって違法と評価されるものであるといわざる得ない」という判決を下した。これにより、当時の市長と自治課長に6,000円を超える金額分の支払命令が出された。

ところが、大津市は自治連との懇談会をあらためようとせず、「6,000円は公費で支出し、それ以上は自己負担」というルールを持ち込み、豪華な懇談会を続けていた。

当時は、朝日新聞などの全国紙や、京都新聞、滋賀報知新聞などが、繰り返し報道し、大津市の職員による公金を使っての飲食を批判していた。

大津市食糧費訴訟/過去の判決文

市民からの問い合わせに対して、自治協働課の職員は昨年「大津市自治連合会の懇談会費は自治連のお金から出ている」と話していたが、今年5月の総会については、別の職員が「自治連との懇談会は、市の公金から出ている。過去も同じ」と説明した。職員によって返答が異なるという、不誠実な対応をしていることも浮き彫りになった。

当時の大津地裁判決に対する各社新聞報道