大津市の情報公開・個人情報保護審査会は、大津市自治連合会の60周年記念事業に関連する経理文書について、「公開することが妥当である」という答申結果を決定した。しかし、大津市はこの答申結果を受けた手続きを進めていない。未だに関係文書を開示せず、放置している。大津市は「市民のみなさんの市政への参加と理解・協力を得て公正で信頼される市政運営に努める」(ホームページ)としているが、実行されていない。
問題となっているのは、2015年10月に行なわれた大津市自治連合会の60周年記念事業の収入伝票の「預金通帳の写し」、自治連合会の決算資料の歳出の「給与費」など。大津市民が情報公開条例に基づいて、2015年5月28日に開示請求した。
ところが、公金を使っての式典にも関わらず、大津市(担当は自治協働課)は、関係文書の多くの部分を黒塗りし、部分的にしか公開しなかった。例えば、参加費については、氏名も金額も全て黒塗りにした。大津市の運営補助金から支出している、大津市自治連合会の給与費の金額も黒塗りだった。
大津市の補助制度適正化基本方針は、懇親会費や賃金は補助の対象外にあたるとしている。しかし、その方針が無視されている。
大津市が、これらの資料を部分的に非公開にした理由は、情報公開条例第7条1の「個人の権利利益を害するおそれがあるため」と、条例第7条2の「団体の正当な利益が害するおそれがあるため」の2つ。この処分を不服として、市民が異議申立てをしたのは、2015年6月25日。1年以上かかって、ようやく審査会の答申が出たのに、大津市は文書を全面開示するという「決定」を、市民に通知していない。
大津市自治連合会の60周年記念事業は、2015年10月31日に琵琶湖ホテルで開催された。参加者は、大津市自治連合会の役員、越直美市長はじめとする大津市の幹部、市議会議員や県議会議員ら、約200人が参加した。大津市自治協働課の説明によると、参加者から参加費10,000円を徴収したとしているが、大津市自治連合会へ支出された運営補助金(公金)200万円も60周年事業の予算として充てている。
大津市情報公開審査会の答申では、「60周年記念事業にかかる預金通帳口座の入出や残高が明らかになるような情報について、これを公開するとしても当該団体の権利、競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれがあるとは認められない」、「事業活動が損なわれるおそれのある事情は、実施期間から具体的に説明がされているわけではない」、「大津市自治連合会は大津市から助成を受けている団体であることに照らすと事業活動にかかる情報については、市において補助金にかかる説明責任を全うする観点からすれば、出来るだけ公開することが求められる」などと、明確な判断を下している。
↓2015年10月31日琵琶湖ホテルにて開催/大津市自治連合会の60周年記念事業の決算書