大津市が設置している各種の委員会・審議会のうち、61に大津市自治連合会長が名を連ねていることが、情報公開請求の資料により分かった。市の条例に基づた92の審議会のうち、約3割の27に自治連合会長が入っている。このほか、条令に基づいてはいないが、各課が設けた委員に、少なくとも34人が選出されている。
いずれも「市民団体」枠を使っているが、選考の基準は不透明で、自治連だけを特別扱いしていることが浮き彫りになった。国や地方自治体が設置している審議会の人選方法や運営に関しては批判が多く、全国的には、審議会などを見直しが進んでいる。
大津市の「平成27年度 関係会議委員等派遣状況一覧表」によると、大津市自治連合会長を「市民団体」枠の委員として、優先的に指名している。しかし、市内では数多くの市民団体がさまざまな活動しているが、委員には加えられていない。その一方、大津市内の自治会加入率は約64%で、自治連が「市民団体」を代表しているとは言いがたい。
越直美市長は2012年、「大津市附属機関等への設置及び運営に関する指針」を定めたが、その趣旨は、「市の意思形成過程の透明性の向上と公正の確保を図るとともに、市民の市政への参画を一層促進することを目的」としている。意思形成の上で「公正の確保を図る」としながら、毎年、大津市自治連合会を優遇して審議会などの委員に選出している。
国や地方自治体が設ける審議会の在り方には、「議論の結論が最初から決まっている」といった批判が根強い。しかし、大津市は2015年度に9つの審議会を新設している。
↓参照:大津市附属機関等への設置及び運営に関する指針
http://www.city.otsu.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/46/516b57ab002.pdf
↓参照:1999年4月27日の閣議決定/「審議会等の整理合理化に関する基本計画」
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/990524singikai.html
↓参照:ウィキペディア「審議会」とは/委員の人選
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%A9%E8%AD%B0%E4%BC%9A
審議会委員の人選は官庁の裁量で決めることができ、官庁の人脈など恣意的な要素で委員が決定されることがあり、初めから議論の結論が決まっている場合も少なくないという指摘がある。審議会そのものに対しても問題について審議や議論をする場ではなく、審議をしたことを示すための単なる手続きの場となっており、審議会の意向に沿ったお墨付きを与える御用学者的な役割を果たしている委員もおり、中立性に関して疑問が呈されることも少なくない。