市民ボランティアによって琵琶湖を美しくするという目的を掲げた「琵琶湖市民清掃」で、大津市から補助金を受け取っている団体が、極めて不透明な支出を繰り返していることが、情報公開制度を通して開示された文書などから明らかになった。団体責任者自らが補助金からの謝礼金を受け取ったことを示す領収 書などが多数見つかっている。市はチェックする立場にありながら、「市の事業ではない」と主張している。
この団体は、大津市自治連合会などでつくる「琵琶湖を美しくする実践本部」。市から補助金を受け取り(2014年は560万円)、毎年6月下旬から7月上旬の週末に、市民にボランティア参加を呼びかけ、一斉清掃事業を実施している。
市 に対する報告文書の中からは、ビール代など不適切な支出を示す領収書や、筆跡や書式が不自然な経理書類が、多数見つかっている。市はこうした事実を把握し、チェックする立場にあるが、これまで全く問題にしていない。むしろ、市は市民清掃の当日、部長級以下100人近い職員を有給で動員するなど、事業を積極的に支援してきた。
不適切な支出を示す文書の1つが、2011年度の領収書。「実践本部」の幹事で、自治連合会副会長だった安孫子平次氏 が、自分宛に領収書を発行し、「車両借上げ謝礼金」名目で1万円を受け取っている。安孫子氏は翌年度は、実践本部の本部長に就任している。カネの流れが領収書の示す通りだとすれば、補助金の一部を事業の責任者が自らの懐に入れたことになる。
大津市は補助金が適正かつ適切に使われたかをチェックする立場にあるが、こうした使い方を全く問題視していない。
資料1 「2011年 和邇学区自治連合会長の自分宛の領収書」
資料2 「2012年 和邇学区自治連合会長の車両借上げ謝礼の領収書」
資料4 「2013年 晴嵐学区自治連合会の運搬業者へのビール代領収書」
資料5 「2014年 日吉台自治連合会の運搬業者へのビール代領収書」