大津市環境政策課のホームページから、琵琶湖市民清掃の運営要綱が削除された。見せたくない情報があると消したくなるのは、役所の性なのか。大津WEB新報は、大津市の環境政策課や自治協働課などへ、補助金関係でいくつも情報公開請求をしてきた。しかし、開示日になると、黒塗りの文書を受け取ったことが何度もあった。
例えば、今まで一番傑作なのは、補助金150万円で作成した大津市自治連合会の60周年記念誌だ。市の担当職員は、大真面目な顔で「部分開示」なのだと説明する。どこが「不開示」なのか。見てみると、越市長以外の副市長や職員、自治連合会長の顔などが真っ黒に塗りつぶさていた。市民が参加する自治会の上部組織の60周年記念誌なのに、見られたら不都合なことがあったのだろうか。笑いが止まらなかった。
時代をさかのぼって、明治時代はどうだったのか。反骨のジャーナリスト、宮武外骨が発行した「滑稽新聞」に興味深い記事があった。「滑稽新聞」は、汚職官僚を追及し続けた新聞で、庶民に人気があった。記事によると、当時は「新聞雑誌検閲官」という役人の職種があったという。検閲官は、東京の警視庁や各府県の警察本部、また検事局に在籍し、日々、新聞雑誌をチェックしていた。不都合な箇所を見つけると、学生の作文を添削するように、朱色でベタベタ書き込んでいた。市民の「知る権利」などまるで尊重されていない時代だった。
今は、さすがに、新聞雑誌に記載された不都合な事実を、役所が赤く塗りつぶす権限はなくなった。だが、その代わり、自らの公文書を黒く塗りつぶすか、市民の目に触れる前に、削除したり、破棄したりと、お粗末な悪あがきを演じている。大津市もその自治体のひとつだ。森友学園問題における近畿財務局の対応も記憶に新しい。
↓明治35年滑稽新聞の記事を大津WEB新報訳
「新聞雑誌検閲官」
東京の警視庁や各府県の警察本部又は検事局で、その管内の新聞雑誌数十とか数百とかを検閲するのは、随分面倒である。しかし、内々の事情を聞いてみると、案外、気楽なこともあるようだ。最初、この役目にあたった時は、新聞雑誌を悉く見なければならないが、慣れてくると、何日報は検閲するに及ばぬ、何新聞は油断のならぬ記事が多い、何雑誌は切抜きと広告、何新報は脅喝用の事ばかりというように、慣れてくればたいした手間もかからないのである。
そして、目をつけられた新聞がどのような目にあうかといえば、まるで学生の作文に教師が点数をつけるように、全紙面にベタベタと赤でチェックを入れられる。その赤点には、『○』もあれば『「』もあり、『、、、』もある。これは、上司に示すほんの付点だから、各府県とも一定していないが、例えば、『○』は、新聞紙条例違反とか官吏侮辱犯ではあるまいかという印、『「』は、警察部内において注意すべき印、『、、、』はその肝心なところを教える印、というような状況である。告発すべき事、注意すべき事は、部長とか課長とかの意見を聞いて、それぞれ手続きに及ぶのである。「社会日報」の記事で例示してみる。
滑稽新聞などは、大いに目をつけられているナンバーワンである。先ごろ、記者が警察本部へ行った時、側にあった滑稽新聞をチョイと内々に開けてみたが、全面、ことごとく赤で塗られ、見るも残酷な有り様であった。
↓市長以外の顔写真が黒塗り/補助金150万円で作成した「大津市自治連合会の60周年記念誌」/400万円をかけた市と自治連合会の琵琶湖ホテルでのパーティーで参加者に配布したもの/情報公開したら、下記の通り