大津市からの琵琶湖市民清掃に対する補助金の不正使用が発覚した際、大津市の環境局環境政策課は新聞社の取材に対し、「新たな管理体制」を提案すると約束していながら、実際には実行していなかったことが、情報公開制度に基づいて開示された文書で明らかになった。補助金を支出している自治体として、実施主体である任意団体「琵琶湖を美しくする運動実践本部」を特別扱いし、まともにチェックしていない実態がまた浮き彫りになった。問題の「実践本部」の役員会はわずか15分間で終了。大津市から合計6人の職員が出席していたが、具体的な改善策を提案したという記録はなかった。

2011年度の補助金が不正使用されたことを受け、大津市環境政策課は、京都新聞の取材に対して「自治連合会との信頼関係を前提に、領収書の確認だけで済ませてきた」実態を認めた。その上で、対策として「実践本部の役員会で新たな管理体制を提案する」(2012年12月26日朝刊)とコメントした。ところが、翌年の役員会では、大津市側から何の提案もなされていなかったことが分かった。

情報公開制度で開示された議事録によると、この役員会が開かれたのは報道の翌年2013年の5月23日。市庁舎新館7階特別応接室で、午後2時に始まり、わずか15分で閉会している。参加者は、「実践本部」の安孫子本部長(当時)ら19人で、このうち2人は、「実践本部」幹事の市民部長と環境部長。他に、「実践本部」事務局として環境部からは4人が参加していた。

会議では、青山学区自治連合会で5万9000円の不正使用があり、「実践本部」へ返納されたことが確認されている。これを受けて、本部長が「助成金の使用については適正にお願いします」と報告している。しかし、会議の席上、環境政策課の職員が、「実践本部」に対して何らかの「新たな管理体制」を提案した、という記載はどこにもない。「新たな管理体制」について話し合われたという記録は全く残されていない。

この役員会には、6人の学区の自治連合会長が出席していた。このうち、目片允章氏の晴嵐学区と岩波弘氏の滋賀学区は、いずれも2014年12月に、業者へのビール謝礼など不適切な使途が判明し、新聞報道されている。また、清水耕二氏の長等学区や、堀井博樹氏の平野学区では、琵琶湖市民清掃で公金の不適切な使い方があったことを、本サイトが開示された文書を基に指摘している。さらに、内田一豊氏の瀬田学区は、領収書を添付していない報告書を2010年に提出していた。

参考記事1「安孫子本部長(当時)の琵琶湖市民清掃(図解)」

参考記事2「目片会長の琵琶湖市民清掃(図解)」

参考記事3「岩波会長の琵琶湖市民清掃(図解)」

参考記事4「清水会長の琵琶湖市民清掃」

参考記事5「堀井会長の琵琶湖市民清掃」

参考記事6「内田会長の琵琶湖市民清掃(図解)」

参考資料1「琵琶湖を美しくする運動実践本部/会議等結果報告書①(2013.5/23役員会)」 琵琶湖を美しくする運動実践本部/会議等結果報告書(2013.5/23役員会)_01

参考資料2「琵琶湖を美しくする運動実践本部/会議報告書②」 琵琶湖を美しくする運動実践本部/会議報告書(参考記事)_01

2013年5月23日役員会1