琵琶湖市民清掃の実施要綱が今年度(2016年度)から大幅に変更された。昨年(2015年度)の実施要綱と比較しながら、数々の疑問を明らかにしていく。(文書上、今年度から加えた文面を赤枠で囲んである)

解説シリーズ第1回は、要綱の「はじめに」に書かれた、いわゆる基本方針の部分。一見もっともらしいことが書かれているが、この問題を追及してきた大津WEB新報には、そのまま受け入れることができない内容となっている。

実施要項は「はじめに」の冒頭で、「大津市民にとって、琵琶湖から受ける恩恵は、何物にもかえがたいものがあります」とうたいあげ、「市民が愛着をもっている琵琶湖の美しさを自分たちの手で取り戻し、末永く保持するために市民清掃を行います」と、事業の意義を強調している。

しかし、市民清掃では琵琶湖の水質とは直接関係のない、湖岸から遠く離れた公園や道路なども清掃の対象になっている。たかだか年1回、しかも半日の清掃で、「琵琶湖の美しさ」が維持できるはずもない。一斉清掃は滋賀県も主催し年に何度も行っている。さらに問題なのは、大津WEB新報が再三指摘してきたように、こうした美化運動を装いつつ、無許可業者にごみを運搬させるなど、廃棄物処理法違反などの疑いが極めて濃い実態が隠されてきたことだ。

大津市は、43年間も市民の善意を利用し、大きな問題が複数あることを知る立場にありながら、補助金を支出し続けてきた。変更の理由を一切説明することなく、美化運動と称した自治連合会主体の「実践本部」に、毎年550万円を投入してきた。「実践本部」は、これらの公金を無許可業者への謝礼金や自治連役員の飲食代、土嚢袋代などでほぼ使いきっていた実態がある。

次に「今後もこの市民運動を継続するため、昨年度に今後のあり方の検討を行い、次のことを確認するとともに実施方法を見直しました」と一文を入れている。しかし、なぜ「今後のあり方の検討を行った」のかの説明が一切ない。問題が出て来たから、検討を余儀なくされたはずが、プロセスを全く説明せず、「変更」することだけを伝えている。市民の「意見」は求めず、「参加」だけを求めていることになる。

さらに、要綱の中で、自ら太字で強調している部分が「地域の美化の全てを市民清掃が担うのではなく、市民清掃の原点に立ち返り、実践本部のルール(実施要綱)に基づき、自らの責任で出来る範囲で、無理のない清掃を実施するという考え方で事業を行う」という文面である。

昨年度までは「市民清掃の原点」を逸脱していた、という認識があるのだろうか? 「実践本部のルール(実施要綱)に基づき」と述べるが、昨年度までも実施要項は作られていた。それに基づいて運営されていたはずなのだが、どこに問題があったと考えているのか。「自らの責任で出来る範囲」を昨年度は超えていたと認識しているのなら、範囲を超えたのはどういう部分だったのか明確にする必要がある。

それとも「今までは、市民清掃といえないものまで担っていたが、市民主体の事業に立ち返り(業者主体でなく)、市と実践本部がルールを遵守していなかったと反省している。自らの責任で収集・運搬できる範囲で、自分たちの地域に限定して清掃するように求める」と、読み替えてよいのだろうか。

 

平成28年度 琵琶湖市民清掃実施要綱 1P

 

平成28年度 琵琶湖市民清掃実施要綱_赤追記

平成27年度琵琶湖市民清掃実施要綱 1P

平成27年度 琵琶湖市民清掃実施要綱_01