琵琶湖市民清掃の実施要綱が今年度(2016年度)から大幅に変更された。昨年(2015年度)の実施要綱と比較しながら、数々の疑問を明らかにしていく。(文書上、今年度から加えた文面を赤枠で囲んである)
解説シリーズ第4回は、2016年度の実施要綱に書いている、「雨天時の対応」だ。今年度から雨天時は、実践本部が中止の判断も視野に入れるという。だが、各学区に判断を委ね、「実践本部」が責任を回避しようとする部分が見られるなど、なお問題がある。そもそも昨年度までは、市民の安全面を無視しても、強行していたことになるが、反省の言葉は一切ない。
さらに、市民に参加を呼び掛けている以上、大津市には何らかの責任があると考えられる。ところが、昨年度までも、そして今年度も、大津市はまったく知らんぷりを決め込んでいる。幼い子どもからお年寄りまでが参加する大規模な清掃活動なのに、雨天でも実施する意味はどこにあるのだろうか。大津市はボランティアで参加する市民の安全をあまりに軽視している。
2016年度の要綱によると、「気象警報発表に至らない雨天等の場合、中止の判断は実践本部が行う。実践本部の中止の判断に従った学区は、別の日に地域清掃(美化活動)に切り替えて実施する。学区の判断で実施をする場合は、当日の午前8時まで学区単位で市にごみ回収を依頼する。気象警報発表の場合は、完全中止とし、7月17日に実施する」としている。
一方、2015年度の要綱では、雨天決行。警報発令時の荒天の場合は1週間後に延期。「実践本部」には中止という選択肢はなかった。そのため、2012年に大雨で雷注意報が発令していても市民清掃を決行し、参加した市民から「事業のための事業ではないか」など批判の声が報告書に出ていた。
警報発令の際に「完全中止」は、市民の安全を考えれば当然のことだ。しかし、「気象警報発表に至らない雨天等の場合」については問題が残る。「実践本部」が「中止」を決めた場合でも、各学区に指示を徹底するのではなく、「学区の判断で実施をする」余地を残す形になっている。一見、各学区の自主性を尊重しているようだが、市民の安全や作業負担について「実践本部」が責任を回避しているようにも見える。
市民に参加を呼び掛けている大津市には、現場で作業にあたる市民の安全確保について責任がないのか。任意団体の「実践本部」に、雨天決行か中止かの判断を任せてよいのだろうか。
大津WEB新報は、2015年7月23日「雷注意報で決行/2012年の琵琶湖市民清掃/今年度も「雨天決行」/市民清掃№35」という記事で、過去の雨天時の対応を批判している。
↓2016年度 琵琶湖市民清掃実施要綱
↓2015年度 琵琶湖市民清掃実施要綱