大津市ではこれまで、「迷惑料」の返還訴訟、琵琶湖市民清掃の補助金の不正使用や、不適切な使途の問題が次々と新聞報道されてきたが、事態の適正化をはかれなかった。当時の環境部の責任者はいずれも、総務部長へ就任していることが、情報公開請求の資料と取材で明らかになった。不祥事が続く環境部の責任者が、コンプライアンス推進課や行政改革推進課を統括する総務部長に就くという、皮肉な巡り合わせとなっている。
その1人は大西政章氏。環境部の管理監から昨年度の総務部長に昇進した。当時は大津市の環境政策課が、琵琶湖市民清掃を運営する任意団体「琵琶湖を美しくする実践本部本部」の会計事務を担当していた。市職員が公務で、「実践本部」の事務局の仕事を担い、銀行の通帳も管理していた。「実践本部」から業者への支出は、市の「支出伝票」を用い、市の管理監や課長補佐が承認している。
「実践本部」が大津市からの補助金で購入した162人分の弁当代10万5300円 を、大津市自らが受け取っていたことが、情報公開請求の資料で判明。大津市の職員は公務中、市の補助金で購入された弁当を食していた。補助金をチェックする立場にある行政と、補助金を受け取っている団体が一体化している構造が浮かび上がった。こうした問題を当サイトは「琵琶湖市民清掃№6」の記事で報じている。
大西氏は昨年度、総務部長という重要ポストに就き、行政改革を推進する課の統括責任者となったが、環境部時代のことについて、「過去のことは答えられない。今の担当者に聞いてほしい」と説明を避けている。
参考記事1「補助金から大津市職員162人に弁当/公務出勤の全員に/「答えられない」と市幹部/市民清掃№6」
もう1人は、大西氏の後任として今年度の総務部長に就任した上野隆平氏。2013年、2014年と環境部長に就いていたが、琵琶湖市民清掃の補助金の不正使用が発覚した後も、新たな管理体制を打ち出すことはなかった。琵琶湖市民清掃では、補助金の使途をチェックする立場にあるのに、「実践本部」の役員(幹事)として参画していた。環境部は、大津市監査委員の指導が入った後でも、「自治会の良識に任せていた当時の判断に問題はない」(京都新聞5月31日)とコメントをしており、公金に対する意識の低さが浮き彫りになっている。