伊香立学区内を出発した貸切バスは、名古屋のビール工場(ビアパーク)に直行した。一行13人は岐阜県へ移動して、天竜川の急流約6キロを、船頭が巧みに櫓をこぐ船に乗って下る。夜は長野県南部の昼神温泉にある旅館に泊まり、宴会そしてカラオケ付きの二次会に興じる。旅行の目的は岐阜県の中津川市役所への訪問だったはずだが、立ち寄ることはなかった。

これを“研修旅行”と位置付けるには無理がある。

確かに、1泊2日の2日目には、岐阜県の中津川市役所には訪れていることは確認できた。しかし、伊香立学区自治連合会は、大津市には“研修”の内容を報告していない。逆に、大津市は、中津川市役所で13人が何をしたのかも確認せずに、補助金を支出している。

両者ともどうかしていないだろうか。ツアーの総額は約74万円。1人当たりに換算すると5万円を超える。これらの貸切バス代などは補助金(迷惑料)から支出されている。元はと言えば市民から集めた税金である。補助金を使う方にも問題があるが、補助金を出す方にはもっと問題がある。

そもそも本当に中津川市役所を訪れる必要があったのか。13人もが参加する必要があったのか。

JR中央本線の中津川駅は、特急「しなの」が止まる。大津からだと、名古屋まで新幹線を使い、特急に取り次げば片道2時間弱で行ける。十分日帰り可能な場所である。わざわざ温泉宿に1泊することはない。

なぜ貸切バスなのか。なぜビール工場なのか。なぜ天竜川下りなのか。なぜカラオケ付き宴会なのか。なぜ少人数での日帰り日程にしないのか。

大津市と自治連合会が一体化した「補助金天国」は許されない。