琵琶湖市民清掃の実施要綱が今年度(2016年度)から大幅に変更された。しかし、2015年度までの実施要綱と、変わらない点がある。「無許可業者に収集・運搬を依頼しないで下さい」などと、市民に注意を促す文言が見当たらないことだ。つまり、要綱を作成した任意団体「琵琶湖を美しくする運動実践本部」や、大津市には廃棄物処理法を遵守しようとする姿勢が見えず、無許可業者によるごみの収集や運搬を放置している。これに対して、大津市以外のいくつかの地方自治体は、以前からホームページで市民に注意を呼びかけている。

例えば、愛知県の蒲都(がまごおり)市では、「自らの廃棄物を他人に運んでもらいたい場合は、許可を受けた業者に有料で依頼してください」と許可業者名を紹介。無許可で廃棄物の収集運搬を行った場合、以下のように対応するとしている。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第25条」により刑事罰が科されます(5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこの併科)無許可の違法な収集運搬業者と見分けるため聞き取りや身分証確認を厳密に行います。聞き取りの結果、無許可業者であると判明した場合は受入れを断ります」

こうした対応は、環境行政のイロハのイだと言える。参考HP:愛知県浦都市のホームページ

しかし、大津市では、各学区が無許可業者に謝礼金を支払い、琵琶湖市民清掃で収集した一般廃棄物を処分場に搬入させ、計量もせず減免処分をしていた。搬入されているのが、市民が集めたごみだけなのか、裏付けるデータは何もない。事実上、便乗投棄を容認していると指摘されても否定しようがない態勢だった。それだけでなく、大津市の公共工事入札で有利となる「協力証明書」まで発行していた。

過去の実施要綱には「自治会役員自ら搬入できない場合は、許可業者へ依頼して下さい」という一文が全くない。行政としてあるべき姿勢も示さず、詳細な説明もないまま、今年から協力証明書の発行をとりやめた。大津市は、何の説明をしないまま、今年度から市のパッカー車を稼働させるとしている。