大津市は2年前に外部の監査人から、ごみ収集運搬業務委託の「競争入札による業者選定」を求められていながら、琵琶湖市民清掃の収集・運搬も特定業者と随意契約を行った。清掃の収集・運搬業務について大津市は、4社との間でいずれも随意契約を結び、その総額は2,250万円に上る。国や自治体が行う契約は入札によることが原則となっている。大津市がなぜ外部監査の意見を無視し、随意契約に固執するのか、市議会や市民に対し、明確な説明が求められる。
大津市は2014年、予算の使い方に関する包括外部監査人による監査結果をホームページ上で公表した。その中で、包括外部監査人は「ごみ処理に関する監査結果及び意見」として、収集・運搬業務に関する随意契約の問題を指摘している。「いつまでも、特定の業者との随意契約を続けるのではなく、発注方法を見直し、競争入札により業者選定を行うことを検討されたい」と述べた。
指摘に対して、大津市環境部は「今後は、法令を遵守し、市民サービスが滞らない範囲で、指摘の趣旨に留意しつつ環境部内の委託契約審査会において精査し、改めて契約方法について判断していきます」と答え、改善を約束している。
しかし、監査結果が出た2年後の今年、琵琶湖市民清掃の収集・運搬業務では、包括外部監査人の客観的な意見を取り入れることなく、家庭ごみの収集をしている4者と2,250万円の随意契約を締結した。大津市所有のパッカー車が、琵琶湖市民清掃のごみ収集に稼働したかどうか、収集・運搬の契約を所管している市環境部廃棄物減量推進課の職員は、2週目の市民清掃後も把握していなかった。
【用語ミニ解説】・・コトバンクより
●「包括外部監査」とは
監査委員が行う行政内部の監査とは別に、都道府県、政令指定都市、中核市に対して、弁護士や公認会計士など外部の監査人と契約を結んで予算の使い方について監査を受けることを義務づけたもの。 ずさんな公費支出が問題になるなど、従来の監査制度が形骸化しているとの反省に立ち、1997年の地方自治法改正で制度化された。
●「随意契約」とは
入札やせり売りなどの競争の方法によらず、任意に適当と思われる相手方を選んで結ぶ契約。随契。
●「競争入札」とは
売買において、複数の契約希望者に契約条件を提示させ、もっとも有利な条件を提示した者と契約すること。日本では、競争入札は、公共工事や政府調達について、官(政府や地方公共団体など)という一つの買い手が複数の契約希望者(複数の売り手)のなかから、契約者を選ぶ際に使われる場合が多い。だれでも入札に参加できる「一般競争入札」と、入札に参加する者を過去の実績や技術力などであらかじめ絞り込む「指名競争入札」がある。
●随意契約と競争入札の比較
競争入札を行わず、特定の者と契約することは随意契約とよぶ。一般競争入札は選定過程が透明で談合防止効果があり、競争によるコスト削減効果が大きいが、過当競争となり、品質低下を招くおそれがある。指名競争入札は過当競争を抑え、入札審査や監督業務を軽減できるが、指名過程が不透明で談合を誘発しやすい。随意契約は災害時などに迅速に対応できるほか、特許保有者など専門性の高い者との契約に向いているが、競争原理が働かず汚職が起きやすい。
↓2014年度・包括外部監査人による「ごみ処理に関する監査結果及び意見」抜粋
↓監査結果に、環境部が講じた措置の内容 抜粋