リニューアルしたJR大津駅から琵琶湖までの交通アクセスについて、越直美市長に具体的な将来構想が何もないことが明らかになったが、滋賀県内で一番乗車人数が多いJR南草津駅は、40年前の草津市政が構想し、その後に引き継がれ、現在の発展につながったことがわかった。

ウィキベディアによると、1978年(昭和53年)12月の市議会で、当時の草津市長が、JR草津駅とJR瀬田駅のほぼ中間の野路町辺りに新駅を設置し、周辺を「南部新都心」として開発する構想を表明したのが始まりとされている。

構想から40年間で、バス路線の充実、立命館大学や商業施設の誘致、住宅地の開発など、市、JR、住民、事業者などが一体となり、活気のあるまちを作りだした。その結果、2015年には、1日の平均乗車数が約2万9千人に膨れ上がり、JR草津駅を抜いて乗車人数が県内1位となった。何もなかった地域を県内1位の乗車人数に築きあげたのは、市民の利便性を追求した草津市政の熱意であろう。

一方、大津駅周辺は、県庁などの官公庁が多く、京都や琵琶湖が近いという好立地だが、大津市は、観光都市にするための具体的な交通アクセスや駅前開発の構想を示していない。JR大津駅はリニューアルしたが、商業施設の「ビエラ大津」には、エレベーターや駐輪場、そして駐車場もなく、利用者から不満の声が上がっている。

2016年まで何の手も打たなかった大津市政の無作為ぶりは、草津市に比べると際立つ。大津市には今後、高齢化社会と市民ニーズを見据えた配慮あるまちづくりが求められる。

ウィキベディア:大津駅
ウィキベディア:南草津駅