【解説】

滋賀報知新聞が7月21日付けの記事で、大津市の市政情報課が情報公開請求の窓口の真上に、訪れた市民を撮影するため、監視カメラを設置していることを報じた。大津市は、市政情報課の請求窓口だけでなく、生活保護相談室など、市庁舎内に60台設置している。

しかし、具体的にどの場所に設置しているのか答えられないとしている。市役所を利用する市民は知らぬ間に、60台の監視カメラで常時撮影されている。また、庁舎内にいる職員も常時“監視”されている。撮影した映像はだれが何のために使っているのか。大津市は市民に対して説明する責任がある。

設置時期に関する大津市の説明は矛盾している。滋賀報知新聞の取材に対し、市政情報課の職員は、この年の8月に中学生いじめ自殺事件で教育長襲撃事件が発生しており、市職員の安全のため必要だとしている。

2016年7月21日滋賀報知新聞/「情報公開窓口に監視カメラ 大津市職員に根強い市民不信」

しかし、市政情報課に監視カメラを設置したのは、教育長襲撃事件の5か月前の2012年3月である。

ジャーナリストで共同通信社友・元ワシントン支局長の藤田博司氏(故人)によると、メディアが大々的に報じたのは、2012年7月4日以降で、それまで、いじめに関する記事は、共同通信社のデータベースによると、9か月間で35件。大津の男子生徒の自殺に直接関わる記事は10件前後に過ぎなかったと「大津いじめ報道の隠れた問題点」で振り返っている。【訂正】※7月25日午前中に配信した段階で、いじめ事件の記事は「35件」とだけ記載していましたが、大津の男子生徒の自殺に直接関わる記事は「10件」の誤りでした。確認が不十分でした。訂正します。

被害者の家族が、民事損害賠償訴訟を起こしたのが、2012年2月24日。その1ヶ月後の3月に、大津市は市政情報課に監視カメラを設置している。2012年は、情報公開請求の件数が414件。その内、教育委員会への請求が84件と例年より格段に増えた年だった。

そして昨年12月、市民らが一部自治会へ支出している迷惑料の補助金1.5億円が違法と大津市へ住民監査請求を提起した。2016年2月に監査請求が棄却され、3月に訴訟に移行した。大津市は、3月末に、市政情報課を7階に移動し、請求窓口をパーテーションで仕切り、監視カメラを請求人の目の前に設置し直した。

タイミングとして、大津市は訴訟を起こされるたびに、市政情報を求める市民へ監視カメラを向けていると言える。

↓滋賀報知新聞が撮影した画像

9800116c76b17b0cb9721252c5bd3a04