富士見学区のごみ焼却施設の余熱を利用して運営する温水プールを取り壊し、別の場所に新たに建て直す事業が動き始めている。15年間の運営費を含めた総工費は25億円以上という。計画段階から、大津市の説明が二転三転して、新しいプールの建設予定地周辺の住民たちから「説明が不足している。すっかり騙された」などという不満や不信の声が続出している。

問題となっているのは、富士見学区のごみ焼却施設に併設している市民温水プールの取り壊しと、それに代わる新たな温水プールの建設計画。新設の場所は、東へ約700メートル離れた富士見台宇野海道にあるため池の「新池」で、富士見レックスガーデンが隣接している。周辺住民の話によると、「新池周辺は、大津市防災マップの土砂災害特別警戒区域で、近くに膳所断層も走っている」という。

2014年6月19日に行われた新池周辺の近隣住民への説明会で、施設整備課の職員は「新しい市民温水プールは、焼却施設の余熱利用をするため、候補地が限られている。新池を埋め立てて建設するしかない。急いでいるので賛成してほしい」と説明をしていたという。

ところが、造成工事が既に始まった2年後の2016年12月の住民説明会で、大津市は「余熱供給はなし」と前回の説明を覆した。施設整備課の職員は当時「余熱利用はできる。湯は冷めないので問題ない」と説明していた。周辺住民には大津市への不信感が高まっている。

■温水プールの取り壊しと新設の経緯

越直美市長が「市内のごみ焼却施設を3つから2つに集約する」という方針を打ち出したため、大石学区の焼却施設は、2014年3月に閉鎖した。大石学区にあったリサイクル施設は富士見学区の焼却施設へ移設する。ところが、受け入れる富士見学区の施設は手狭なため、隣接する稼働中の温水プールを取り壊すことになった。

越直美市長と伊藤康行副市長の2役は2014年5月、取り壊す代わりに、焼却施設から東へ約700メートル離れた場所(富士見台字野海道)に、新しく温水プールを建設することを決めた。2016年12月現在、開発工事が急ピッチで進められている。

新たな温水プールが建てられるのは、新池(ため池の名称)にある約1万平方メートルの場所。一部の農業用貯水池だけを残し、埋め立てるため、造成工事が大規模に行われている。工事の予定期間は、2016年1月から12月まで。大津市の施設整備課から説明を受けた住民によると「造成工事費だけで5億円」という。

↓大津市富士見学区周辺地図

↓取り壊すことになった富士見の市民温水プール。

 ↓2014年6月19日/施設整備課から近隣自治会へ全戸配布/富士見市民温泉プール移転の必要性と候補地検討について/全戸配布

↓富士見市民温泉プール移転整備事業に伴う造成工事/2015年土地利用計画平面図

↓2016年12月9日/施設整備課から近隣自治会へ全戸配布/新富士見市民温泉プール整備事業について

 

 

↓新市民温泉プールの造成工事をしている「新池」の前面道路/道幅狭し

↓大津市防災マップ/富士見学区その1