大津市内の私立認可保育園で2014年7月、当時4歳の男児が死亡した事故で、直後に大津市が調査し、報告書を作成していながら、遺族には見せていないことが、大津WEB新報の取材で明らかになった。越直美市長は事故直後からこの問題に深く関与していながら、記者会見などの場で報告・説明していない。約3年間、大津市が組織ぐるみで隠蔽していた疑いも浮上している。

毎日新聞の5月9日付朝刊の報道によると、市内に住む当時4歳の男児は昼寝の時間後に嘔吐物をのどに詰まらせ、呼吸が停止しているのが見つかり、約1時間半後に搬送先の病院で死亡が確認されたという。しかし、男児の遺族は保育園側から、部屋に保育士2人がいながら、なぜ男児の異変に気がつかなかったのかや、どのように対処したのかなどについて、具体的な説明を受けなかった。そのため、遺族が今年2月に大津市に検証を求めたところ、大津市は今年6月に、第三者委員会の設置条例を市議会に提案する方針を明らかにした。

ところが、大津WEB新報の独自調査によると、男児が死亡した翌日には、大津市が私立認可保育園に聞き取りをし、「報告書」を越直美市長に提出していた。一方、遺族に対しては、3年前の報告書を見せていないという。

事故直後に調査、報告書も作成

私立認可保育園で、男児が吐瀉物をのどに詰まらせて死亡したのは、2014年7月22日の午後2時半ごろ。大津市の保育幼稚園課が、保育園側から報告を受けたのは、当日の夕方という。翌23日午前9時には、大津市の職員が保育園を訪れ、聞き取り調査をしている。午後1時には、越市長に一連の経緯を報告した。越市長は「真相を究明するように」と指示し、その後、報告書が提出された。

「報告書は内部的な文書」と釈明

保育幼稚園課の職員は、一連の経緯が記載している文書に、「報告書」の存在が記載されていることを明らかにしたが、遺族に対してこの報告書を開示しなかったことについては、「内部的な文書だったため」と釈明している。

越市長は3年間放置

この事故が公になったのは、遺族が今年2月に検証を求めたのがきっかけ。大津市は関連の情報を明らかにしていない。越市長はこれまでの記者会見でこの事故については一切触れず、「待機児童ゼロ達成」をしばしばPRしてきた。