大津市は、琵琶湖市民清掃の監査請求で、監査委員会に意見書を提出している。その中で、無許可業者に美化活動ごみの収集・運搬の謝礼金を支払うのは違法であるという市民らの主張に対して、「地域の各種団体等が所有する車両を用いて排出された草木やごみを市の一般廃棄物処分場まで搬送したとしても、自ら排出した一般廃棄物を運搬する行為とみることができ、廃棄物の処理法及び清掃に関する法律第7条第1項ただし書の規定により、市町村長の許可は不要である」と説明していた。

自ら排出した一般廃棄物を運搬する行為とはどういうことを指すのか。大津WEB新報の過去の調査を基に、2015年度の「琵琶湖を美しくする運動実践本部」本部長である、瀬田学区自治連合会が実際にどのようにごみを収集・運搬していたのか、解説しよう。

2015年琵琶湖市民清掃・瀬田学区自治連合会のケース

①年1回の琵琶湖市民清掃では、実践本部から大津市へ、実施計画書が提出される。瀬田学区自治連合会は、計画書の中で、借り上げたトラックで処分場へ搬入すると記載。搬入場所は、「大田(廃棄物最終処分場)」としているが、当日は、大田廃棄物最終処分場に、搬入していなかった。その手前の仮置き場に、ごみの重さを量らず積み下ろしをしていた。大津WEB新報が、2015年7月5日、現地に赴き、写真撮影している。

↓2015年7月5日琵琶湖市民清掃/大田廃棄物最終処分場の手前の仮置き場にて

②実践本部が発行した整理券(申請さえすれば何枚でも可)があれば、許可業者でなくても収集・運搬可能な仕組みとなっている。美化活動のごみは一般廃棄物にあたる。他市では、一般廃棄物は、許可業者に依頼するようホームページなどで徹底して呼びかけている。しかし、運搬費用の補助金を支出している大津市は、「実践本部」が無許可業者に収集・運搬させても黙認していた。

③瀬田学区自治連合会が依頼したのは、4つの事業者。4社とも建設会社で、大津市の一般廃棄物許可業者ではない。さらに、地元でもない業者も含まれている。瀬田学区自治連合会では、4業者に13万5千円を、補助金(公金)から支払っていた。大津市は、監査請求の意見書で、「これらの建設会社の車両は、地域の各種団体が所有する車両」と主張している。清掃をしている各種団体を統括した実践本部、つまり、ごみの排出事業者が「自ら運搬している」のだから、大津市の許可は必要ないという説明である。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律は、「廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的」としている。
環境省が、2014年10月に作成した資料によると、「廃棄物処理業の許可制度は、廃棄物は、自由な処理に任せるとぞんざいに扱われるおそれがあり、生活環境保全上の支障が生じるおそれがあることなどがあり、欠格要件に該当しないことを審査したうえで、廃棄物の処理を適正に実施することが認められる者についてのみ当該行為を行うものができる」としている。つまり、許可業者のみが廃棄物を収集・運搬・処分できる、誰にでも自由に処理を任せることはできない、と定めている。
瀬田学区自治連合会が行ったことは、どう転んでも、無許可業者にごみを扱わさせている。廃棄物処理の法律や条例に違反している。それでも構わない、というのが大津市側の主張である。