多額の補助金を出している自治体と、補助金を受け取っている側の任意団体が毎年、ホテルで豪華な懇親会を開いている。目的は両者の「意見交換」。こんなことが大津市と大津市自治連合会の間でまかり通っている。琵琶湖ホテルの宴会場で振る舞われているのは、1人8,000円の料理とアルコール類を含む飲み物。大津市は20人近い職員を宴会場に送り込みながら、「1人6,000円まで公費負担することは、司法判断に基づいている」と胸を張っている。

冗談も休み休みにしていただきたい。その席に呼ばれることもない一般市民から見れば、単なる「仲間うちの宴会」である。飲み食いに公金を支出しているから、大津市は「公務だ」と説明する。大津市が進める「行政改革」が名ばかりであることを、琵琶湖ホテルでの宴会が実証してくれている。豪華な宴会の席でなければ、市の職員が意見交換を行えないのだとすれば、自ら「公務員として無能です」と公言しているようなものだ。

大津市自治連合会の事務局は、大津市役所の庁舎内に置かれている。自治協働課の一画を占めている。机や椅子などは無償。事務局の電話は市役所の内線電話番号が与えられている。自治連合会の幹部や幹部経験者は普段、「顔パス」で自治協働課のスペースを出入りしている。こうした事実だけでも、両者の関係が極めて近いことが分かる。

その上、どのような「意見交換」が両者の間に必要だというのか。さらなる意見交換がもし必要だというのであれば、平日の昼間、市庁舎内の会議室で行えばよい。できれば一般市民(自治会の会員)が傍聴できるようにするのが望ましい。しかし、自治連合会は総会の案内さえ一般市民に周知しない。まして、市の職員との宴会に、一般市民が招待されることはない。

琵琶湖ホテルの宴会場で、豪華な食事とアルコール類を挟まなければ実現できない「意見交換」とはいったい何なのか。大津市は「意見交換だ」という説明を、市民が鵜吞みにすると考えているのだろうか。世間からはどこからどう見ても「仲間同士のただ飲み会」である。

この席に、地元の中学生・高校生を招待し、見学させてみてはどうだろうか。「さすがに大津市の職員さんは一生懸命、意見交換という仕事をしているなあ」と思う生徒はいるだろうか。しかし、この光景こそが今の大津市職員の実態である。

大津市は2003年12月の大津地裁判決を、6,000円支出の根拠にしているようだ。しかし、この判決は大津市に対して「6,000円まで使ってよい」という「お墨付き」を与えているわけではない。限度ぎりぎりまで毎年使ってよい、と理解してはならない。

税金が原資なのだから1円でも経費を切り詰める、という発想はまったく見えてこない。現場で本当に意見交換がなされているのか。もっと経費を掛けずにできないのか。ホテルの宴会場は必要なのか。参加する職員を減らすことはできないのか。そもそも懇親会が必要なのか。それらが検討されている形跡はない。「行政改革の推進」は空念仏である。

もし自腹を切っていたら、6,000円も掛けて、話を聞き出そうとするだろうか。大津市の職員は、自分のお金ではないから「意見交換のため」などと、平気で口にすることができるのだろう。