大津市自治連合会の会計を所管する市自治協働課が、自ら作成した取扱いマニュアルに全く従わずに事務を行っていたことが、情報公開制度の公文書開示請求で明らかになった。チェックすべき経理書類を保管しておらず、実際どのような事務が行われていたのか、闇に包まれている。2002年、当時の助役が「公金支出の一層の公平公正化を図る」と語った市民に対する約束が、10年以上たっても果たされていない。

大津市は役所内で、民間団体の事務を代行する場合、「公金外現金取り扱いマニュアル」にもとづいて、事務を遂行するよう各課に勧めている。所管の各課は、それぞれ「取扱いマニュアル」を作成し、コンプライアンス推進課にも提出している。

任意団体の1つ、大津市自治連合会の場合、通帳や会計管理は2012年まで、市自治協働課の職員が代行していた。そのため2011年10月に「『大津市自治連合会会計』取扱いマニュアル」を作成。収入と支出それぞれについて、どのように処理するかの事務作業手順を示した。

しかし、このマニュアルで規定された伝票や一覧表などの文書について開示を求めたところ、すべて「保有しておらず、存在しない」という回答が返ってきた。つまり、職員が事務代行していた、自治連の関係書類が市役所内には全く残されておらず、マニュアル通りに処理されていなかったことが分かった。

このような状況について、市自治協働課の職員は「2013年に大津市自治連合会が事務員を雇用した(補助金から人件費支出)。自治連合会の事務員に過去の資料を全て渡したので、市では保管していない」と話している。

大津市は2002年、自治連の報償金裁判の判決を受け、佐藤賢助役(当時)が記者会見で「今回の裁判を契機に、市民に疑いを持たれないよう、公金支出の適正な執行に向けて検討を加えていく」、「公金支出の一層の公平公正化を図る」などと話し、年間326万円支出している報償金を、2002年度から使途報告の必要な補助金に切り替える方針を明らかにしていた。

参考記事「補助金の公益性は不問/大津市の実績報告に領収書なし/ 自治会№8」

参考資料「大津市自治連合会会計/取扱いマニュアル」

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