大津市環境政策課が事務局となっている任意団体「琵琶湖を美しくする運動実践本部は、経費の使途に関する細かい規定を設けていないのに対し、同じような琵琶湖清掃事業でも、滋賀県が管轄する任意団体「美しい湖国をつくる会」は、「実績報告書」に写真の添付を義務づけるなどの規定を設け、厳格に運用していることが関係者への取材で明らかになった。規定の細かさと運用の厳格さにおいて、両者の違いは際立っている。

滋賀県の「美しい湖国をつくる会」には、大津市以外の18市町が参加。7月のびわこを美しくする運動だけでなく、複数回美化活動を行っている。

2013年の大津市「実践本部」の実績報告書によると、役員や業者への食事や飲み物に、補助金が使われている学区が複数あり、ビールを謝礼として業者へ渡している学区もあった。これに比べ、「美しい湖国をつくる会」では、飲食費に対する規定そのものが詳細かつ厳格。例えば、「一斉清掃活動における清掃活動その他必要経費(当会が事前に承認したものに限る)として、ボランティアの参加者に対する湯茶等の提供は、1人当たり150円以内を補助対象とします。ただし、事業費の3分の1以下とします」としている。

また、運搬の車両については、大津市の「実践本部」には基準がない。各学区自治連合会まかせで、燃料費や借り上げ代も支払い、運転手や搭乗者にまで更に謝礼金を支払っている学区もあった。情報公開請求の開示資料によると、会計監事の役員の学区が、業者謝礼を多く支払っていた実態も明らかになった。一方、滋賀県の「美しい湖国をつくる会」は、ごみの運搬に伴い車両賃借料が必要な場合は、1台あたり2,000円以下とします(燃料費込み)」としている。「実践本部」の運用基準のあいまいさと、会計監事の甘さが目立つ。

滋賀県の「美しい湖国をつくる会」の車両賃借料は、地元ボランティアが提供する軽トラックがほとんどで、業者のダンプを依頼する支部はなかった。各市町の支部では、自治体がパッカー車の手配をし、運搬、収集を引き受けている。チェック役の県職員は、「各支部が業者へ運搬の依頼を直接したとする報告書を過去に見たことがない」と話している。

さらに、大津市の「実践本部」は、責任者自らが車両借上げ代を謝礼金で受け取っていた自分宛の領収証はあったが、確認できる写真は添付されていなかった。清掃活動で使用されたことが確認出来る車両の写真添付は義務付けていない。これに対して、「美しい湖国をつくる会」の事務局は、「実績報告書には、提供者の領収書および当該車両等が清掃活動で使用されていることが確認できる写真を添付してください」と各支部へ写真添付を要求している。

また、大津市の「実践本部」は市の環境政策課が事務局を担い、年1度の琵琶湖市民清掃の実施のために、市役所内の特別応接室などで何度も会議を行ない、毎回、役員たちの飲料費を計上している。他方、滋賀県の「美しい湖国をつくる会」の事務局は、会議費にも言及しており、「湯茶、食事代は対象としません。なお、実績報告書には、内容の確認できる会議資料や写真を添付して下さい」としている。

参考資料1「2012年度「実践本部」会計監事/平野学区の収支決算書」

2012年平野学区収支決算書

参考資料2「2012年度「実践本部」会計監事/平野学区の支払い実績」

2012年平野明細
参考資料3「2013年度「実践本部」会計監事/下坂本学区の支払明細書①」

2013年下坂本学区/支払一覧

参考資料4「2013年度「実践本部」会計監事/下坂本学区の支払い明細書②

2013年下坂本学区/支払一覧2

 

参考資料5「琵琶湖を美しくする運動実践本部の経費の用途一覧」(注)基準はこれだけ

「実践本部」要綱