琵琶湖市民清掃の問題で、京都新聞が昨年末「補助金使い道不透明」と報じた際に、「市の事業とすれば2千万円以上かかる」という大津市環境政策課の談話は、実証的なデータに基づくものではなく、職員の個人的な推量だったことが、情報公開請求資料により明らかになった。大津市は、計算の根拠となるはずの「車両借上料や作業員人件費等の価額データ」を文書化したものは存在しない、としている。

問題となっているのは、昨年12月31日付京都新聞の記事に掲載された、市環境政策課のコメント。この記事は次のように、琵琶湖市民清掃の問題を指摘している。

13年度実績報告書によると、36学区のうち21学区の自治連が、市民が集めたごみを収集、運搬した業者に謝礼やトラックの借上げ名目で現金や商品券を渡していた。
総額は138万円。ガソリン代など収集運搬にかかる実費相当分との位置づけだが、トラック1台当たりに換算すると、2千~2万円と学区によってばらついており、大津市の補助金利用の在り方に疑問の声が上がっている。

これに対して、市環境政策課は下記のようなコメントをしている。

市環境政策課は謝礼は問題ないとの立場だ。「運搬車両は全体で500台ほど。市が事業とすれば2千万円以上かかる。それが全体で500万円台の補助金に抑えられている」と話す

このコメントの根拠となるデータを確認するため、情報公開条例に基づいて公開を請求した。その結果、2014年の総会で配布された資料1枚を開示した。しかし、資料には、参加人員とごみ収集量、搬入車両台数が書かれているだけ。「市の事業とすれば2千万円以上かかる」根拠となる試算データではなかった。

情報公開の決定通知書は、「車両借上料や作業人件費等の価額データについては、取材を受けた職員が経験上有していた知識であり、これを文書化したものは存在しない」としている。つまり、職員が京都新聞の取材に対して述べた「市の事業とすれば2千万円以上かかる」と述べたのは、あくまでこの職員の個人的な経験と知識に基づくもので、何らの裏付けがないことが分かった。

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2014年12月31日京都新聞/市環境政策課コメントの根拠資料/開示資料(1枚) 2014年12月31日コメントの根拠資料_01