今年度に新たな実施要綱が作られ、琵琶湖市民清掃が行われている。数万人の市民が参加する清掃活動である。外形的に見れば、間違いなく、大津市の条例が定める「美化活動」だと位置づけられる。ところが、主催する任意団体「琵琶湖を美しくする運動実践本部」はそのようには考えていないらしい。いったいどういうことなのだろうか。
詳しく見てみよう。大津市ホームページの「琵琶湖市民清掃について」に添付されているのが「別紙2」である。「雨天等で中止に従った学区は、別な日に地域清掃(美化活動)に切り替えて実施する」として、別紙2の「美化活動について」を参照するようにお知らせしている。
「美化活動について」というタイトルがあり、公益の「美化活動」は、申し込みにより臨時に収集処理を市が行うものですと書いている。その下に「琵琶湖市民清掃とルールが異なりますので、ご注意ください」と記載している。この説明を読んだ市民は、誰もが首を傾げることだろう。
雨天中止となって別の日に行う地域清掃は「美化活動」であり、「市民清掃とルールが異なる」のだと言う。一方、琵琶湖市民清掃は「美化活動」とは位置づけられず、別のルールに基づいて運用されている、ということになる。
そもそも、「美化活動」については、大津市は廃棄物条例26条2項で定めている。
大津市の大津市廃棄物の処理及び再利用の促進並びに環境の美化に関する条例
第26条 市は、一般廃棄物処理計画に従って、一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分しなければならない。
2 市は、家庭廃棄物(ふん尿及び市民の美化活動その他規則で定める公共的な活動から発生する一般廃棄物(以下「美化活動等による廃棄物」という。)を含む。以下この条から第28条までにおいて同じ。)に限り、定期的に又は臨時に収集するものとする。
この条文に従えば、自治会などが地域で行う公共の場所における清掃活動は、全て「美化活動」である。「美化活動」を行う場合は、適切な手続きをしてから、ごみ処理の減免などを認められる。
「琵琶湖市民清掃」だけがなぜ、この条例の対象外と位置づけることが可能なのか。条例が定める手続きしなくてもよいのだろうか。市議会が例外を認めたのだろうか。
そのような事実はない。琵琶湖市民清掃を主催するのは任意団体の「琵琶湖を美しくする運動実践本部」である。実践本部が定めるルール(要綱)が、大津市の条例より、上位に置かれることはあり得ない。
「ルールが異なる」と説明すること自体、自ら美化条例を遵守していないと宣言しているようなものだ。琵琶湖市民清掃のルールとは、どんな条例を根拠にしているのか。この任意団体に補助金を支出している大津市(環境政策課)には、説明責任がある。任意団体の勝手気ままな運用がまかり通ってはならないことは言うまでもない。